昨今、SDGsやソーシャルインパクトなどが注目され、地域連携や第三セクターの動きがより活発になってきています。
筆者もソーシャルインパクトボンドを地方の事業会社と提携し、実現させるプロジェクトのPMOを担っています。
その中で、様々な方が関わり、様々なレベル感の方がプロジェクトにジョインし、それをまとめながら進めていかなくてはなりません。
特にどのようなサービスを半官半民団体として進めていくか、など結構揉めます。
本当に揉めます。
その地域に住み、その自治体に納税しており、自分たちの税金をどのように活用するのかの一手ともなるので当たり前ではありますが、本当によく揉めます。
ソーシャルインパクトボンドについてはまた別の機会にお伝えするとしまして、この経験で得たローカルビジネス、ないしはローカルをターゲットに置いたマーケティングの難しさや手法について綴っていきたいと思います。
目次
ローカルビジネスをターゲットに置いたサービスはインターネットが普及した今では凄まじい数が存在しています。
AmazonもそうですしUberもそうです。
ただ、彼らのようないわゆる業界の巨人達は広報やマスマーケティングに多くの予算を投じており、認知される機会創出はとても多いです。
では、前述のソーシャルインパクトボンドとして何かサービスを立ち上げようとする団体はどうでしょう。
地域の事業会社や学生団体、市民団体や自治体などが提携してサービスを進めていきますが、ハッキリ言って資金はありません。
資金があるところを見たことがありません。
本当にないです。
もう自腹で金融公庫行って借りてきた方が早いんじゃないかと思うくらいに資金が枯渇してます。
SDGsやソーシャルインパクトが流行る前からあちこちで展開されている第三セクターなんかも資金枯渇で解散するケースが多いですね。
そこでいかに予算を抑えつつマーケティング施策を行うかがキーとなります。
大手と同じことをやっていては勝ち目はないです。
いわゆるランチェスター戦略。
これは、ローカルビジネスをターゲットにした大企業のサービスも然り、ローカル企業が立ち上げた地域産業も然り。
弱者の戦略を練りに練って戦わないことには労力だけ削られてプロジェクト終了というケースも多々あります。
そのため、自分たちが考えたサービスの他との差別化やより強い部分はどこなのか、という当たり前ではあるけれど資金力がある企業は蔑ろにしがちな点をひたすら掘り進めて考えて、サービス自体のPMF(プロダクトマーケットフィット)を考えながらマーケティング施策を打っていきます。
ここで筆者がローカルをターゲットにしたビジネスないしはローカルビジネスとして実際に行った施策をいくつかご紹介します。
1、自治体と提携
これはもう基本でもあるかもしれないです。
地方自治体の多くが産業提携の窓口を持っており、その提携を実現できれば一般的な事業会社では広告を打てない場所へ出稿できたり、セミナーなどの講師として登壇したり、多くの方へと認知してもらえる機会をゲットできます。
事業会社からのコンサルタント依頼で教育事業を展開していた頃に、教育委員会や文教などに広告を打てないか相談したところ、一瞬の内に却下されたのですが、自治体との産業提携を掴み取ったところ、瞬く間の内に教育委員会や文教へのマーケティング活動を認められた経験があります。
ただ、これはどんな因果があるのか知らないのですが、大手企業だと産業提携をしなくても地域活動への参加や文教へのマーケティングが認められるケースも多いです。
何の因果かは知りません、、、
2、地場企業・大学との提携
大手と中小でのアライアンスではなく、同じくらいの規模感の企業とのアライアンスを提携することも多々ありました。
大学との産学提携もその一つかなと自分の中では包括して考えています。
メリットとしては、リソースの強化があります。
人的にも資金的にも、アライアンス先が何か地場の強力な不動産などを持っていればそのリソースなどの活用も場合によっては可能となります。
産学提携は学生アルバイトを募ったり、学生主体のプロジェクトと協創することなどが実現できます。
マーケティングとしてはPR活動の一つになったり、提携先が持っている顧客情報に対して、あくまでパーミッションを取った上で利用ができる事などがメリットと言えます。
現に前述した筆者が携わった教育事業は地場の大きな企業と提携をし、その企業が持っているリソースを活用したソーシャルインパクトのある施策を共に打ったことによって非常に大きな反響がありました。
各大学には産学提携受付の窓口がありますし、地場企業も自分達のいる街への貢献度を高めたいと思っている企業は多いため、お声がけしてみると思いの外、話が次々と進んでいくケースが多いです。
3、市民団体・第三セクターとの提携
これは2に似ています。
市民団体や第三セクターはローカルに対して圧倒的なネットワーク力を持っている団体も多く、その提携によりサービスを展開するネットワークを強化していく施策です。
ただ、筆者の経験則ではあまり良い結果が得られた事はありません。
なぜかというと、市民団体も第三セクターも資金が枯渇している団体が多く、事業会社と提携となると金銭要求ばかりしてくる団体が非常に多いのです。
もちろん、互いの利益を考えると金銭面での交渉は必要不可欠なのですが・・・
何度か成果報酬にしようと提案したケースもあるのですが、一団体も引き受けてはくれませんでした。
ネットワーク規模はローカルビジネスを対象にした場合、非常に有益なものとなる可能性が高いものの、如何せん金銭要求が激しく、施策を打っても費用体が合わず、結局継続はできないとなったケースしか筆者は経験していません。
その点を乗り越えれるように上手くまとめることが出来れば、サービスなどの展開に非常に強いネットワークを構築できると思います。
様々な企業がSDGsへの取り組みやソーシャルインパクトを生み出そうと新規事業への参入が続いています。
これは大手だけならず、中小企業や場合によっては零細企業でも同じことが言えます。
ただ、ローカルへのアプローチ手法が分からない、ターゲットは見えたけれどどう戦略を立てるべきか、人間関係がはちゃめちゃで事業どころではない、なんていう相談まで筆者は頂く事も増えており、SDGsなどを自分は意識してはいないけれどもやはり増えているのだなと実感しています。
多くの施策を打ってきた経験の中から総論のような三つの事例をご紹介しましたが、その他にも面白い施策を沢山考案して経験してきたので、ご紹介していこうと思います。