アウトドア用品で有名なノースフェイス。
実はマタニティ向け製品を販売していたのをご存知ですか?
元々が男性向けアウトドア用品で確たるブランドを確立していたのに、なぜマタニティ用品、しかも大ヒット。
マーケターやビジネスデベロッパーな方々は興味津々な内容ですね。
私見も交えつつまとめてみました。
目次
商品開発のリーダーに抜擢された女性は、当時事業部企画メンバーの中で唯一の出産経験者だったそうです。
そこでまず徹底的にデータにあたり、周りのママたちの声を拾う事に注力をしました。
データを調べると、マタニティ市場は元々が小さく、少子化で更にシュリンク。
マタニティウエアにかける総額も2万円台と高額ではない。
でも出産を機にファッションが変わったというデータや、周りのママたちの
『着たいマタニティウエアがなかった』
『メンズサイズを着ていた』という声もあったので、
こういう市場だからこそ満足していない人がいるんじゃないかなと潜在的なニーズに期待したそうです。
とはいえ、ザ・ノース・フェイスの機能素材を使ったアウターは、とても2万円台では世に出せないという課題がありました。
だとしたら「産後も長く使える」ものが絶対条件である、と解決策を導き出したのです。
この辺り、出産を経験した女性ならではの市場の切り方だなぁと思いました。
僕なら産後も長く使えるもの、という条件は考えずに、リユースできるものでいいんじゃないかなぁと短絡的かつ何も考えてないかのような意見を適当に出してしまうと思います(笑)
メインのアイテムはダウンコートで防風・撥水はっすい性、保温性が高く、妊娠中はもちろん、カバーをつければ産後も赤ちゃんを抱っこができる仕様。
初お披露目となった展示会では、高い機能性が評価されて計画比160%の受注があり、実際に販売を始めるとウェブストアでは、ワンピースが即完売。発売2週間で販売店舗を集約せざるをえないほど売れたそうです。
購入者は妊婦さんだけでなく、半数は産後の方だったようで、産後も使えるという狙いが当たったようです。
買い物は旦那やご両親と一緒の方が多く、ECストアでの購入者の約半数は男性で商品企画のリーダーを務めた女性も非常に驚いたようです。
この女性は、数字をとるために何かをするよりも、やるべきことをすれば数字はついてきます
売り上げを増やすために商品を増やそうとは考えておらず、必要最小限で、いちばん強みを生かせるアイテムを出していきたい、と語っています。
素晴らしいビジネスデベロッパー、マーケターの考えだと思います。
筆者の経験則上、こけた事業の多くは売上を指標としており、何をすべきか、を考えていない事業が非常に多かったです。
上手くいっている事業は、ある意味で属人性が非常に高い施策を事業の序盤では繰り返し、連続性のない施策を打ちながらも数字だけを追うやり方ではなく、何をして何を実現できるかを明確に解像度を上げていったケースがほとんどです。
連続性のない打ち手を打つ、というのは事業としては再現性も低く継続性も得られないため、あまり評価される事がないですが、事業立ち上げとなると話は別です。
新規事業や事業の新規施策で悩んでいるマーケターやデベロッパーの方は連続性や属人性など全く考えずに自分達が何をしたらいいのか、それで何が実現できるのかだけを考えてもいいかもしれません。
意外性のある発想と市場を分析してその意外性の解像度を上げて実現へと向かわせる。
このノースフェイスの事例はその考えに非常にいい例だなぁと思います。
実際、この商品企画の際も市場なんかないと周りから散々言われたようです。
でも、それを裏付けるロジカルさと意志の強さでリリースしてここまでの売り上げを結果的に出した、というのはマーケターとしても素晴らしいとしか言いようがないです。
1、自社ブランドの価値を知る
2、メッセージを大切にする
3、チーム全体で大きくする
これらを成し遂げた結果なのでしょう。
筆者はこじんまりとしたプロジェクトばかりなので、大きなチームには最近参加していないのですが、2022年度は大きいプロジェクトにも久しぶりにジョインするので、自身も参考にしてみたいと思います。