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【フリーランスから法人に】法人成りについて考える

【フリーランスから法人に】法人成りについて考える

筆者はフリーランスです。
外部役員を3社やっていますが、ほとんど仕事をしていない名ばかり役員なので、基本はフリーランスで営んでいるコンサルやストラテジストの案件で日々忙しくしています。

正味なところ、フリーランスでコンサルティング領域をやる人っていないんです。
何故なら高単価で税金がものすごい事になるからです。
ただ、筆者はお金に興味がないので、低単価で案件を受けます。
その分、働く場所とか働く時間帯の制限を全部外してもらったりしますが、そこそこ自信のあるレベルの成果物を提供しますが、低単価は守っています。

税金で一度廃業しかけたのが原因です。
その時は調子に乗って事業所得4000万近くで着地してしまい、えげつない額の税金を払いました。
そこからあんまり稼いでも良い事ないなと思って、低単価だけど自由度が高い、という方を選択して仕事をしています。

ただ、それでも事業所得はそこそこの額となってきてしまいます。
そこで出てくるのがこの言葉。

法人成り。

今回は法人成りをするメリットデメリットを考えていきたいと思います。

目次

  1. 法人成りを考える基準とは
  2. 法人成りのメリットデメリット
  3. まとめ





法人成りを考える基準とは

そもそも法人成りとは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人に変更することを指します。
節税や、信頼性の向上、資金調達などの面から法人成りを考える個人事業主・フリーランスが多いです。

その法人成りを考える基準の一つとして、事業所得を目安にするケースがあります。

個人事業主・フリーランスとして事業を継続している限り、事業所得は全て個人所得となり、個人としての所得税が課されます。
その税率は、5%から45%まで7段階に分かれており、さらに住民税の10%の課税もあるため、税率は最大で55%になります。
そして法人税の最高税率は所得税の最高税率よりも低いため、事業所得の金額次第では、法人税率よりも高い税率が課される場合があるのです。

実際に、資本金1億円以下の中小企業を営んでいると仮定した場合の法人税率は所得が800万円以下であれば15%、800万円を超える部分の法人税率は23.2%となっており、この場合は個人事業主・フリーランスでいるよりも法人成りをした方が節税対策になると言えるでしょう。

ただ、実際に個人事業主・フリーランスが法人成りを考える事業所得が500万を超えているか否かで法人成りをした方がいいかを判断する事もあります。
筆者もアドバイスを受けた税理士の方は上記と全く同じ事を仰っていました。

細かい計算式はここでは抜きにしますが、事業所得500万と考えた場合に個人事業主・フリーランスと法人とで年間約10万近く支払う税金が変動する可能性もあります。

節税対策だけではないですが、このように事業所得から法人成りを考えるのが一般的かと思います。

法人成りのメリットデメリット

法人成りをした際のメリット・デメリットをそれぞれ挙げてみます。

メリット
1、信用度の向上
こちらは当たり前な話。
個人より法人の方が資本金やら諸々が法人登記簿で分かるので、信用度は高くなります。
ただ、個人的な経験則としては、安易に立てた合同会社とかだと正直個人事業主と大して信用度に違いはない気がします。

2、無限責任から有限責任へ
個人事業主は事業に対して無限責任、というのも実はあまり知られていないですが、そうなんです。
法人成りすることで法人格にもよりますが、出資額の範囲内までが責任範囲となります。
個人事業主は事業失敗したら全額個人に襲いかかってきますので、初期投資が大きい方や維持費などなど大きい金額が常に動いている方は意識した方がいいです。

3、節税対策
これは前述の通りです。
加えて言うと、役員報酬(給料)に対しても最低65万、最高220万の給与所得控除が適用されます。

4、事業を継承できる
個人事業主の場合、何かしらの要因で事業を継続できなくなった場合、廃業をするか別の人がやる場合も新しく開業届が必要になります。
認可などは事業主である個人が対象になっているので、受け継ぐことはできず、新たに認可を受ける必要があります。

対して、法人の場合だと法人自体が対象となっており、法人成りをしておけば、社長が仕事を続けられなくなったとしても、新しい社長に交代するだけで事業を継続することができるのです。

5、決算月を任意に決められる
個人事業主は、毎年原則3月15日までに確定申告をすることが定められており、人によっては多忙な時期に短い期間内での確定申告が必要になります。
法人成りをすると、決算期は任意で決めれるため、自分の事業の閑散期があればそこを決算期にして追われることなく申告処理ができます。

デメリット
1、設立費用がかかる
株式会社を設立する場合は、最低約25万円(電子定款の場合は約21万円)かかります。
合同会社の場合は、最低約10万円(電子定款の場合は約6万円)かかります。
これらを司法書士などに頼むとなった場合、さらに費用はかさみます。

さらには登記するためのオフィス、今はバーチャルオフィスも多いですが、借りる必要があります。
電話番号などもオプションで付いているバーチャルオフィスも多いので、オフィスが不要だけど法人成りをする、という方にはおすすめです。

2、社会保険に加入
今は例え一人会社だったとしても、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入が義務です。そして会社は社会保険料の半分を負担しなければなりません。
さらには個人事業主だった時の国民健康保険+国民年金の保険料よりも社会保険料のほうが高額になります。

その分、国民年金よりももらえる年金が多くなることや、遺族年金や障害年金なども充実するので保障は手厚くなっているので、この辺りも慎重に調べながら法人成りを進めないと、単に事業所得だけ見て法人成りをした方がいい、とは言えなくなります。

社会保険以外にも加入しなくてはならないものが労働保険もあり、冊子版の創業手帳では、これら公的保険制度について詳しく解説しています。

この創業手帳が参考になります。
創業手帳を見てみる

3、事務の負担
法人成りをした際には個人事業主よりも圧倒的に書類が多くなり、自力でこなすのは中々厳しくなります。
そのため、税理士や会計士へ委託する必要が発生するケースがほとんどですが、この委託費用も考えなくてはなりません。

事務の負担が増えるだけでなく、委託費用の発生と経費が嵩んでいきます。

4、赤字でも税金
個人事業主の場合は、赤字だと年数千円程度の個人住民税の均等割りしか生じませんが、法人成り後、法人住民税の均等割りもあるため、最低7万円を納税しなくてはなりません。

5、役員報酬(給与)が毎月同額
個人事業主の場合、稼いだお金は自由に使うことができました。
しかし法人成りをした後には、会社のお金と個人のお金が明確に分かれ、給料については役員報酬として会社から社長に支払う形になり、これが個人の所得となります。

と、メリットデメリットを挙げてみました。
正直これ以上にもそれぞれもっと沢山あります。

筆者は事務の負担や社会保険の加入などを考えたときに、事業所得がいかに法人成りをした方がいい金額に達しているとしても、かかる手間や委託する税理士などとの折衝にかかる時間、その間接的な時間を鑑みたときに個人事業主でいた方がまだいい、という判断をしました。
相当細かく計算をして、どちらがいいか考えましたが、多少税金が高くなっても折衝にかかる工数や事務にかかる時間を考えると、PLでいうところのボトムラインが低くなってしまうので、手間しか生じないと考えました。

あとは稼いだお金を自由に使えないのも正直あります。

まとめ

個人事業主・フリーランスの多くが事業所得400万以下にしている、とニュースを見たことがあります。
その理由は法人成りもしたくないし、税金も高くなりすぎないようにしたい、という事なのでしょう。

筆者の場合、クライアントの根幹に入り込む仕事も多いため、信用を買うという点から法人成りするかは未だに悩んでいます。
恐らく多くの税理士などは事業所得500超えたら考えた方がいいと言いますが、前述の通りそれぞれにメリットデメリットはあります。
自分の事業に適した形、自分のタスクや工数を考えた上で法人成りを検討して、事業に優位性を持たせていきましょう。





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